海上自衛隊による集団リンチ殺人について

 広島県江田島市の海上自衛隊第1術科学校の特殊部隊「特別警備隊」の隊員養成課程に所属する小野広喜3等海曹(当時25歳)が、9月9日の一人で15人を相手にした格闘技訓練中意識不明となり、約2週間後に急性硬膜下血腫で死亡した。

 上記は新聞報道をまとめたものであるが、これは訓練ではなくて、同養成課程を途中で辞退して去ろうとする小野3等海曹に対する集団リンチ殺人以外の何ものでもないと私は考える。

 新聞報道だけを見ても実態は異常な事ばかりで、まともな訓練とは言えない事は明白である。以下にその要点を列挙する。

@小野3等海曹は2日後に元の潜水艦部隊に戻る予定であり、集団による格闘訓練を行う必要性は全く無い

A格闘訓練は通常1:1で行っている。1:10以上の訓練は今年7月と今回のみで、今回1:15で行った事自体が完全に異常

B7月末の1:16の訓練時に受けの隊員が前歯を折り、唇を切り、足首を痛めるという事故が発生している。
 危険を伴う訓練では通常緊急事態に対応するために医官を立ち合わせるのに今回は医官を立ち会わせていない

C立会い教官の格闘訓練指導者としての不適格性
 教官は剣道初段、少林寺拳法初段で、指導者の目安となる陸上自衛隊の格闘技の課程も履修していない。
 一体、この教官という人間はどういう資格と権限でこの訓練を行ったのか!
 教官のレベルが低いということは、打撃等による人的損傷についての知識も経験も低いことを意味する。
 要するに事故が起きた場合の緊急性について教官は判断能力が無いということを意味する。

D7月の1:16の格闘訓練の隊員は、2〜3人目以降はあまり記憶が無いというが、空手経験があったため無意識でも防禦できた。
 小野3等海曹は武道経験があまり無かったというから、経験数ヶ月の素人同然
 素人に訓練と称して過酷な殴り合いを強制することは、リンチ殺人以外の何ものでもないだろう。

E自衛隊による救急搬送のミス
 教官は、小野3等海曹が14人目であごに打撃を受けて倒れた折、倒れた原因を「酸欠か熱中症」と判断したという。
 小野3等海曹は、自衛隊による脳内出血はないとの判断でまず江田島市の病院に搬送されたが、その後、呉市の病院に搬送されている。
 この誤った自衛隊の判断で小野3等海曹の呉市の病院への搬送は1時間遅れている。 

 私が想像するに、この集団リンチ殺人は、特別警備隊の訓練が過酷なために途中辞退者が続発し、それを抑止する目的で教官がみせしめのために訓練の名目で集団リンチを実行したのではないか。

 教官が格闘技に通じた人間であったなら、素人同様の人間にどこまでの格闘が可能か分かっていようが、教官自身が格闘技の素人同然ならそれも分からないだろう。みせしめで半殺しの目に合わせるつもりが、教官が生死の判断の出来る人間でなかったということか。

 自衛隊は旧日本軍の悪い面をそのまま受け継いだ組織だと思う。正に大本営体質
 精神論優先現実無視人命軽視暴力蔓延統一性の無さ

 それはちょっと考えれば頷ける。昭和20年8月15日に日本は敗戦を迎えた。そして軍隊は解散させられた。
 しかし、5年後の昭和25年に朝鮮戦争の勃発により、マッカーサーは日本に再軍備させるために警察予備隊を創設させ、それは昭和29年に自衛隊となる。
 良く考えてみるが良い。誰が警察予備隊に入って、指導したのか。5年前まで戦争していたのである。旧日本軍で真に苦労した人間は絶対に再軍備である警察予備隊や自衛隊に入るわけが無いではないか。

 ではどういう人間が入隊したと考えられるか。旧日本政府と旧日本軍の罪に対して全く反省出来ない旧軍人。ここでいう反省とは、白人から押し付けられた反省ではない。自ら行うべき反省である。さらに本来自ら負うべき罪を逃れてきたような卑怯極まりない人間。旧日本軍のお偉いさんが反省も無く、ちょっと前まで国会議員でのうのうとしていたのだから。要するに自衛隊の前身は、太平洋戦争から何も学ばず、旧日本軍の体質をそのまま持った人間達によって作られたのではないのか。

 だから自衛隊では現在でも自殺者が多い。リンチも行う。いじめも行う。合理的訓練ではなく精神力の訓練。 旧日本軍の悪い所をそのまま引きずっているのではないか。

 話は変わるが、憲法がアメリカによる押し付け憲法というなら、自衛隊もマッカーサーの押し付け軍隊憲法を改正するなら、自衛隊も一旦解散させろと言いたい。本当に軍隊が必要というなら徴兵制。これは当然であろう。

 自衛隊による今回の事件に対する見解が近い内に発表されるだろうが、腐りきった自衛隊にどこまで自浄能力があるか期待する方が馬鹿だろう。

(2008年10月19日 記)

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